KANSAS Part1

次回はコレ

KANSASというバンドが大好きです、と僕が言ってもたいてい、
「カンサス?」という反応が返ってくる。

最近、妙に、本当に妙になんだけれど、KANSASが再び死ぬほど好きである。

(KANSASを布教すべし)というミッションが頭に浮かんでしょうがない。



正式な発音は、米国KANSAS州と同じ「カンザス」で、それもそのはず、彼らはカンサス州ウエスト・トピカの高校時代の仲間で結成されたバンドである。当時のグループ名はWHITE CLOVERと言い、何度かのメンバー流動があったあと、KANSASと名乗り、74年にカーシュナー・レコーズと契約、1stアルバム「Kansas」を発表している。

僕が彼らの曲を初めて耳にしたのは、高校3年生の頃、「日刊アルバイトニュース(現an)」のTVコマーシャルだった。

うろ覚えだが、そのコマーシャルは、
「森の中、一つの切り株がある。フッとその切り株の上部に炎が燃え上がり、消えていく」
そんなコマーシャルだったと思う。切り株にはリスや蝶がいた気もする。

そのままでも美しい映像に合わせて、さらに美しいアコースティックサウンドが流れていた。

All my dreams, pass before my eyes a curiosity

画面の右下に現れた6文字のアルファベット、それがKANSASだった。


次の日から僕は、レンタルCDショップに足を向けてはKANSASのCDを探した。
どの店も、あったのはたった1枚、「Power」というアルバムだった。

それはそれで素晴らしかったが、肝心の「あの曲」は収録されていなかった。Vo.のSteve Walshの声は、間違いなく「あの曲」を歌っている人と同じだと思われた。その少し後に発売された新作、「In The Spirit Of thigs」にも、当然のことながら収録されていなかった。
当時はインターネットなんて便利なものはなく、「あの曲」のタイトルを調べる方法さえなく、僕は途方に暮れたのだった。その2枚のアルバムのライナーノーツにも、有力なヒントは見つからなかったように思う。

CMソングに起用されるくらいだから、ヒット曲なんだろう。

そして、きっと古い曲でCD化されていないんだ、と思った。

それから1年と少しが過ぎ、僕は大学生になっていた。ある日フラッと立ち寄った吉祥寺のCDショップで、「クラシックロック特集」なるコーナーが設けられていた。そこには、確かこう書いてあったと思う。

「往年の名作が今CDで! KANSAS・PINK FLOID・ELO!」と。

(もしかして!)と思った僕は駆け寄り、そこにKANSASのCDを4種類見つけた。

うち3枚はスタジオアルバムで、1枚はライブアルバムだった。

でも、「あの曲」が何というタイトルか分からない。そもそも、曲を最後まで聴いたことさえないのだ。

ライブアルバムはベスト構成だろうから、きっと収録されているだろう。

僕は、ライブ盤と残り3枚のスタジオアルバムの曲リストを丹念に見比べた。すると、スタジオアルバムの内1枚はライブ盤よりあとに発表されたものだということが分かった。

賭だった。

CD化され、再発売で1枚1,800円という廉価版ではあったが、お金のない学生には2枚分3,600円は痛い出費だった。

その2枚とは、

「Leftoverture」(76年)
「Point Of Know Return」(77年)

そしてその2枚こそ、KANSAS黄金期の名盤だったのだった。



とうとう見つけた。

初めて最後まで聴いた。

CMでは流れなかった、バイオリンのパートがあった。

音楽を聴いて、初めて涙が出た。



くだんの曲のタイトルは
Dust In The Wind」、邦題は「すべては風の中に」で、「Point Of Know Return」の7曲目に収録であった。


Point of Know Return

Point of Know Return

いつかまた続きを書きます。